YM Basis Waffle Knit Cap|温かいのに、蒸れにくい。
はじめに — 「温かさ」と「通気性」のあいだで
冬になると、どうしてもニットキャップをかぶりたくなる。

首元まで覆うような重装備ではなく、軽くかぶって外に出るあの感じが好きです。
ただ、長く外にいると必ず起こるのが“蒸れ”でした。
温かいニットキャップはすぐ熱がこもるし、通気性を重視した薄手のものは冷たい風を通してしまう。
どちらも悪くないけれど、どちらも“ちょうどよくない”。
その“あいだ”を埋めるニットキャップがずっと作りたかった。
それがこのYM Basis Waffle Knit Capの出発点です。
ブークレ糸との出会い
製作のきっかけはブークレ糸で出来たキャップ。手に取った時にフワッとざらっとした指先に少し弾力が残る。その柔らかさをに今触れてみると、少し印象が違った。
「この糸なら、構想してるニットキャップに合うかもしれない」
そんな直感からYM Basis Waffle Knit Capの試し編みを始めました。
ブークレ×ワッフルの構造が生んだ“抜け”
最初に思い浮かんだのは「立体感」でした。

糸の持つ膨らみを活かすなら、平編みではなく、空気を含む構造の方がいい。
そう考えて選んだのがワッフル編みのニットキャップ。
ブークレ糸が編み目に影を落とし、凹凸を生むことで、YM Basis Waffle Knit Capの保温と通気を両立できる形になりました。
試作品をかぶった瞬間、頭の中に風が通るような感覚がありました。
冷たすぎず、こもりすぎない。
それまで悩んでいたニットキャップの“温かいのに蒸れる”問題が一気に解決した瞬間でした。
素材はポリエステル100%。
吸水性よりも速乾性を重視し、汗をかいても湿気が残らない。
登山やランニングのように動く時間にも、
街歩きのように止まる時間にも馴染むバランスに仕上がりました。
試作を重ねて見えてきた“適温”
最初からうまくいったわけでは――と書き出したいところですが、
実のところ、このニットキャップはほぼ一発で形になりました。
YM Basis Waffle Knit Cap のサンプルは、
要求した仕様をもとに、熟練の職人が一度で仕上げてくれたもの。
糸のテンション、編み密度、仕上がりの厚み、
どれを取っても想定していた“ちょうどいい”にぴたりと収まっていました。

通常なら数回の試作を重ねて調整していくものですが、
今回は最初の一枚を手に取った瞬間に「これでいこう」と決められた。
ブークレ糸とワッフル編みの相性が想像以上に良く、
ニットキャップサンプル段階で既に完成形に近い仕上がりだったのです。
もちろん細かな検証や洗濯テストは行いましたが、
ベースの設計はほとんど修正する必要がなかった。
素材の特性を理解している職人の感覚と、
こちらの意図がきれいに重なった結果だと思います。
「これなら街でも山でも使える」
そう確信できたのが、この一枚との出会いでした。
その瞬間から、YM Basis Waffle Knit Cap は“定番”としての道を歩き始めました。
愛知のニット工場で仕立てた“ベース”
このニットキャップは、愛知県のニット工場で製作しています。
編みのテンションを細かく調整しながら、
ブークレ糸の表情を壊さずに整える工程が必要でした。
糸が柔らかすぎるとループが潰れてしまい、硬すぎると肌あたりが悪くなる。
熟練の職人さんと何度もニットキャップサンプルを見比べながら、
“抜けすぎず、詰まりすぎない”その間のテンションを探ってもらいました。
工場で仕上がった一枚を見たとき、
「Basis=基盤」という名前が自然と浮かびました。
特別派手ではないけれど、日々の中にずっと置いておける。
MOUNTDOORのベースとなる一枚にしたかったからです。
使い方と日常への馴染み方
冬の朝、白い息を吐きながら外に出る。
帽子をかぶると、頭の中にほんのりと温度が溜まっていく。
歩き・走り出しても蒸れにくく、
信号で止まっても熱が逃げすぎない。
汗が乾くスピードも速いので、
一日を通して“温度の波”が穏やかに感じられます。
帰宅後はそのまま洗濯ネットに入れて手洗いモード。
平干しにしておけば型崩れも少なく、翌日にはまたふわっと戻る。
このニットキャップの扱いやすさもBasisの大きな特徴です。
使うほどに糸が馴染んで、少しずつ空気を含んでいく。
まるでデニムのように、自分の生活に馴染んでいく感覚があります。
これからの季節に、もう一枚の空気を
このニットキャップを被ると、
冷たい風の中に少しだけやさしさを感じるようになります。
山へ行く時も、近所のコンビニに出かける時も、
思わず手に取ってしまう“定番”のような存在。
僕自身、毎年冬になると“今年もこれだな”と思う瞬間があります。
過剰な機能ではなく、
必要なものだけを静かに残した結果が、この形になりました。
これからの季節、ぜひ自分の冬の定番として使ってもらえたら嬉しいです。
まとめ
YM Basis Waffle Knit Capの製品ページは以下より。非常により仕上がりとなった第一作目のニットキャップになります。

