山と街の間を歩くために Rove SS Check Shirtsを作った理由
山の服は山だけのものなのか
アウトドアウェアは年々進化しています。
軽く、乾きやすく、動きやすい。
素材もパターンも機能も洗練され、山で使う道具としての完成度は確実に高くなっています。
一方で山の服はどうしてもデザインが複雑になりがちです。
立体的な切り替え。
身体に沿う細身のパターン。
機能を強く感じさせるディテール。
その時々の流行を反映したシルエット。
山で使うことを最優先に考えれば、どれも理にかなっています。
ただ、山を下りた後まで考えると少し違和感が残ることがありました。
そのまま街へ戻る。
食事へ行く。
買い物へ立ち寄る。
家族と過ごす。
そんな時にも自然に着られる服があってもいい。

YM Rove SS Check Shirtsはそこから始まりました。
MOUNTDOORが作りたかったのは山専用のシャツでも、街専用のシャツでもありません。
山と街の間を自然に行き来できるシャツです。
動きやすさは大きく作ればいいわけではない
ゆったりした服は動きやすく見えます。
袖を広くする。
身幅を大きくする。
肩を大きく落とす。
それだけでも窮屈さは減ります。
しかし、アウトドアで使う服として考えると大きければいいわけではありません。
袖幅を広げすぎれば枝や岩に引っ掛かりやすくなります。
生地の使用量が増えれば重量も増えます。
汗を吸った時は生地の面積が多いほど重さやまとわりつきも感じやすくなります。
街着としての見た目と山での使いやすさ。
その両方を成立させるには単純なオーバーサイズでは足りません。
YM Rove SS Check Shirtsは少し大きめのシルエットに設定しています。

肩は適度に落とし、袖丈も一般的な半袖シャツより少し長めにしました。
身体のラインを拾いにくく、見た目には余裕があります。
それでも必要以上に生地を使わず、動いた時の邪魔になりにくいバランスに抑えました。
標準的すぎない。
大きすぎない。
細すぎない。
この中間にMOUNTDOORらしい形があると考えています。
山だけの専用にはしたくなかった
山で使う服は時に制服/専用服のような存在になります。
速く歩くため。
軽くするため。
汗を逃がすため。
荷物を減らすため。
目的が明確だからこそ機能も尖っていきます。
それはとても合理的です。
ただ、MOUNTDOORが作りたいのは山の中だけで完結する服ではありません。
朝から着て、そのまま一日を過ごせる服です。

仕事へ行く。
車を運転する。
子どもを送り迎えする。
山を歩く。
帰りに食事へ寄る。
場面ごとに着替える必要がなく、どこにいても本人が気にならない。
それも立派な機能だと思っています。
高性能であることと心地よく着られることは必ずしも同じではありません。
YM Rove SS Check Shirtsでは数値に表れにくい安心感も大切にしました。
なぜポリエステルとレーヨンなのか
素材はポリエステル65%、再生繊維のレーヨン35%です。

ポリエステルには乾きやすさや扱いやすさがあります。
レーヨンには柔らかさや落ち感があります。
この組み合わせは湿度が高く、汗をかきやすい日本の気候に合うと考えました。
極端に薄いポリエステル素材は軽量性に優れています。
山での行動時間や携行性を重視するなら、とても合理的な選択です。
一方で薄い生地は濡れた時に身体へ張り付きやすくなります。
生地そのものに強度があっても、着ている本人が心理的な不安を感じることがあります。
身体のラインが強く出る。
汗の跡が気になる。
街へ戻った時に少し頼りなく見える。
こうした感覚はスペック表には現れません。
特に身体のラインを見せたくない人にとっては大きな問題です。
服を着た時に本人が落ち着かないなら、どれだけ数値が優れていても毎日着たい服にはなりません。
YM Rove SS Check Shirtsは薄さだけを追いませんでした。
適度な厚みと落ち感を持たせています。
身体の線を拾いにくく、汗をかいた時も見た目が崩れにくい。
山でも街でも本人が気負わずに着られる。
その安心感を素材から作りたかったのです。
チェック柄である理由
YM Rove SS Check Shirtsは無地ではなくチェック柄です。

チェック柄には山にも街にも馴染む普遍性があります。
アウトドアの文脈を持ちながら、日常着としても成立します。
テクニカルな素材に見えすぎず、一般的なシャツにも見えすぎない。
この曖昧さが今回のテーマに合っていました。
柄があることで汗やシワも目立ちにくくなります。
一枚で着ても表情があり、パンツを選びにくい。
見た目の印象はしっかりありますが主張は強すぎません。
流行のために選んだ柄ではありません。
数年後にも自然に着られることを考えてチェックを選びました。
涼しさは薄さだけでは作れない
夏の服は薄いほど涼しいと思われがちです。
しかし、実際の着心地は生地の厚みだけでは決まりません。
身体との間に空間があること。
風が抜けること。
裾が動くこと。
汗をかいた時に張り付きにくいこと。
服全体の構造が涼しさに影響します。
YM Rove SS Check Shirtsは少しゆとりのある身幅にしています。
裾には前後差をつけ、脇にはスリットを入れました。
このスリットがあることで歩いた時に裾が自然に動きます。
風が入りやすくなり、腰回りの動きも妨げません。
見た目にも軽さが生まれます。
夏のシャツとして少し涼しげに見え、単純なボックスシルエットとは違う表情になります。
スリットは装飾ではありません。
デザインと機能を同時に成立させるためのディテールです。
収納は多ければいいわけではない
YM Rove SS Check Shirtsには3つのポケットを設けています。

山で使うシャツなら収納は多い方が便利に見えます。
しかし、ポケットを増やせば縫製箇所も増えます。
重量も増え、見た目も複雑になります。
街で着た時にはアウトドア感が強く出すぎることもあります。
必要な収納は持たせる。
それでもシャツとしての見た目は崩さない。
そのバランスを考えて3ポケットにしました。
一部にはメッシュを使い、機能を持たせながら見た目の重さを抑えています。
ボタンや襟の仕様も含め、全体としてテクニカルに見えすぎないよう調整しました。
細部に機能はあります。
ただし、機能を見せること自体が目的ではありません。
誰に着てもらいたいのか
特定の人だけに向けて作ったシャツではありません。
登山をする人。
ランニングをする人。
キャンプへ行く人。
旅行で荷物を減らしたい人。
普段着として少し機能のある服を選びたい人。
誰にでも着てもらいたいと思っています。
その中でもMOUNTDOORを長く見てくれている方には、このシャツからブランドの考え方を感じてもらえたら嬉しいです。
極端に軽いわけではありません。
極端に細いわけでもありません。
派手な機能を前面に出しているわけでもありません。
それでも着る回数は自然と増えていく。
山へ行く日だけではなく、何も予定がない日にも手が伸びる。
MOUNTDOORが目指しているのはそんな服です。
山と街の間にある服
アウトドアウェアには明確な役割があります。
しかし、私たちの日常は山と街で完全に分かれているわけではありません。
山へ向かうまでの時間があります。
山を下りた後の時間もあります。
仕事があり、家族との時間があり、食事や買い物があります。
YM Rove SS Check Shirtsはその全部を一着でつなぐために作りました。
山専用ではない。
街専用でもない。
どちらにも偏りすぎない。
動きやすさを損なわず、普段着としても心地よく過ごせる。
その中間をMOUNTDOORの答えとして提案しています。
着る場所を決めなくてもいいシャツ。
それがYM Rove SS Check Shirtsです。
製品URL : https://shop.mount-door.com/products/ym-rove-ss-check-shirts


