YM Back Pack Journeyの調整|使い続けて見直した内容
完成したと思った製品にも使い続けることで見えてくる課題があります。
YM Back Pack Journeyは日帰りのハイキングから1泊程度のオーバーナイトまでを想定して設計したMOUNTDOORのバックパックです。
軽量化だけを目的とするのではなく、行動中にバッグが揺れにくいこと、必要な荷物へ素早くアクセスできること、山から街へ移動しても違和感のない形であることを重視してきました。
ショルダーパッドは首のラインに合わせた形状へ調整。ロードリフターでバッグを背中側へ引き寄せやすくし、トレイルランニング用ザックのような身体との一体感を取り入れています。フロントとサイドにはメッシュポケットを配置し、ボトルやトレッキングポールなども収納できる構成です。
今回の調整は、この基本設計を別物へ変えるためのモデルチェンジではありません。
2022年にリリースして5年目...
Journeyらしい背負い心地と収納構成を残しながら、使う中で感じていた部分を「調整-チューニング」し、見直しました。
Journeyという名前に込めた「長い工程」
Journeyには「旅」という意味だけでなく「長い工程」という意味があります。
最初のYM Back Packを完成形と考えるのではなく、使った時間や得られた経験に合わせて少しずつ変化していく。その考えからJourneyという名前を付けました。
今回の調整=もその工程の一部です。見た目を大きく変えて新しさを演出するのではなく、実際に使う中で感じた部分を修正する。数値としては数cmの違いでも、バッグ全体の見え方や荷物を入れたときのバランスは変わります。
従来モデルと比較しながら、調整した理由を紹介します。
1|本体の高さを約3cm短縮
最初に見直したのが、本体全体の高さです。
従来モデルから約3cm短くし、背負ったときのシルエットを少しだけコンパクトにしました。
バックパックの容量を確保しようとすると設計は上方向へ伸びやすくなります。しかし高さを増やすほど、荷物の入れ方によってはバッグの存在感が強くなり、身体とのバランスも変わります。Journeyは日帰りから1泊程度の行動を中心に考えたバックパックです。必要以上に縦へ長くするよりも、背中に自然に収まる高さへ調整した方がJourneyの用途に合うと判断しました。
単純に見た目を小さくしたのではありません。高さを抑えた分は、次に紹介するサイドパネルとボトムの設計で補っています。

2|サイドパネルを約2cm拡張
本体の高さを約3cm短くする一方で、左右のサイドパネルは約2cm広げました。
縦方向を短くしただけでは、収納できる荷物の量もそのまま減ってしまいます。そこで横方向と奥行きのバランスを見直し、必要な収納量を確保しながら全体の形を安定させました。
サイドパネルを広げることで、荷物を入れたときに本体が無理なく立体的になります。
約2cmという数字だけを見ると小さな変更です。しかし左右のパネルとボトムへ連続する部分のため、バッグ全体の容量配分とシルエットに影響します。

3|ボトム容量を自然に拡張
サイドパネルの拡張に伴い、ボトム部分も約2cm広がっています。
バックパックの下部は、着替えや防寒着、クッカー、スタッフサックなどを収めることが多い場所です。ここに適度な奥行きがあると、荷物を過度に縦積みせずにパッキングできます。
高さを短くしながらボトムの面積を広げることで、容量を一方向だけに偏らせない形にしました。
従来モデルよりコンパクトに見えますが、内部の使いやすさまで単純に小さくしたわけではありません。高さ、横幅、奥行きの配分を変え、Journeyに必要な収納量を別の形で確保しています。
荷物を入れる前の平面的な数値ではなく、実際に荷物を入れたときに使いやすい立体を目指した変更です。

4|フロントポケットの形状を見直し
Journeyの特徴の一つが、大きなフロントメッシュポケットです。
レインウェアや行動中に脱いだウェア、濡れたもの、すぐに取り出したい小物などをメイン気室と分けて収納できます。サイドポケットにもショックコードを備え、ボトルやトレッキングポールを固定できる構成です。
従来モデルのフロントポケットは高い収納力を持つ一方、荷物を多く入れたときに前方向へ膨らみやすい形状でした。
容量が大きいことは利点ですが、入るからと荷物を追加していくと、本体から離れる方向へ重さが集まります。見た目だけでなく、パッキング時の重心にも影響します。
フロントポケットの形状を見直し、収納量をわずかに抑えました。
荷物を入れても前方へ大きく張り出しにくくなり、本体に沿ったコンパクトなシルエットを保ちやすくしています。
収納できる最大量を優先するのではなく、行動中に必要なものをコンパクトにすることを選びました。

変えなかった部分にも理由があります
部分的に見直しましたが、Journeyの基本的な考え方は変えていません。
背中側へ荷重を引き寄せるロードリフター、ネックラインに合わせたショルダーパッド、荷物を仕分けられるメッシュポケット、ボトルやトレッキングポールを収められるサイドポケットなどは継続しています。
なお、防水加工された生地を使用していますが、縫い目にシーム処理を施した完全防水仕様ではありません。雨天時や濡らしたくない荷物を収納する場合は、防水スタッフサックやパックライナーとの併用を推奨します。
大きく変えるのではなく、使った結果を反映する
製品を調整し、目立つ機能を追加した方が変更点は伝わりやすくなります。
しかし機能を増やせば、必ず使いやすくなるわけではありません。パーツや生地を追加すれば重量も増え、見た目も複雑になります。
アップデートで行ったのは、何かを足すための変更ではなく、全体のバランスを修正するための変更です。
本体を約3cm短くする。サイドパネルとボトムを約2cm広げる。フロントポケットの膨らみを抑える。ロールトップのバックルを背中側へ移動する。
どれも写真だけでは気付きにくい小さな差かもしれません。
それでも荷物を入れ、ロールトップを閉じ、背負って歩く。その一連の動作を繰り返したとき、バッグの見え方と扱いやすさは確実に変わります。
まとめ
従来モデルを否定して作り直したのではありません。
実際に2022年から丸4年使い続けたからこそ見えてきた部分を修正し、Journeyが持つ軽快さ、収納の自由度、山と日常の間を移動できる外観をさらに2026年に突き詰めました。
Journeyという名前の通り、このバックパックも一つの完成で止まるのではなく、使う時間とともに変化を続けていきます。
本件は2026.8の「カスタム」から順次取り入れていきます。

