なぜ1.5Lなのか。YM Fanny Packがこのサイズ、このつくりになった理由

YM Fanny Packは、たくさん入るバッグではありません。
容量は約1.5L。
スマートフォン、財布、鍵、行動食、グラスケース、薄手のグローブ。
一日分の荷物を全部入れるには小さい。
けれど、歩いている途中で「すぐ取り出したいもの」を持つには十分な大きさです。
この1.5Lというサイズは、最初から「1.5Lのファニーパックを作ろう」と決めて生まれたものではありません。
YM Fanny Packには、その前にいくつかの形がありました。
最初は、バッグですらなかった。
原点となったのは「YM Fanny Boost Pack」。
YM Back Packなどのウエストベルトに取り付け、手元の収納を少しだけ増やすための拡張ポーチとして作ったものです。

バックパックを背負って歩いていると、スマートフォンや行動食、グローブなど、バックパックを下ろすほどではないけれど、すぐに取り出したい物があります。
また、このモデルにはもう一つ個人的な出発点がありました。
腰骨付近のポーチは便利ですが、身体の硬さによっては意外と手が届きにくい。設計者自身もその一人でした。
だからFanny Boost Packでは、容量を増やすこと以上に「身体の近くに、無理なく手を伸ばせる収納をつくること」を優先しました。
サイズは約W20.5cm × H10.5cm × D4.5cm。容量は約1.2L。
身体の横に付けた時に邪魔になりにくいよう、厚みもできるだけ抑えています。
最初にあったのは、
「どれだけ入るか」ではなく、
「どこまで小さくしても、必要な物を持てるか」。
使っているうちに、役割が変わった。
Fanny Boost Packを使い続ける中で、少し違った使い方が見えてきました。
バックパックへ取り付けるだけではなく、そのままウエストバッグとして使う。ショルダーベルトを付け、街でも使う。
「バックパックの追加収納」だった物が、一つの小さなバッグとして使われ始めました。

そこで生まれたのが、2024年のYM Fanny Pakです。
横幅20.5cmという基本的なサイズ感は大きく変えず、マチを約6.5cmへ拡張。容量は約1.5Lへ。
さらにリアポケットやコードフックなどを追加し、「バックパックの一部」だった道具を、一つのバッグとして独立させました。

なぜ、もっと大きくしなかったのか。
1.5Lという容量は、決して大きくありません。
バッグは大きくすれば便利になります。
2L、3Lと容量を増やせば、ボトルも大きな財布もモバイルバッテリーも入れやすくなる。
ただ、それを続けていくと、最初にこのバッグを作った理由から少しずつ離れていきます。
Fanny Packに入れる物は、
「持っていける物」ではなく、
「今、手元に置いておきたい物」。
バックパックほど持たない。
ポケットだけでは少し足りない。
その間にある容量として、MOUNTDOORでは約1.5Lという大きさを残しています。
「あと少し入れば便利」を全部受け入れていけば、バッグは少しずつ大きくなります。
でもYM Fanny Packでは、その便利さをすべて取り込むのではなく、必要最低限を持つための小ささも機能の一つだと考えています。
2026年。ストレッチする面から、ストレッチするポケットへ。
2026年モデルでは、フロントのつくりを見直しました。
これまでフロント全面に配置していたUltra Stretch™を、ファスナー付きのストレッチポケットへ変更しています。

ただし、このポケットに大きなマチは付けていません。
フロント側まで立体的な収納にすれば、容量は増やせます。
その一方で、中身が少ない時でもバッグは前へ張り出します。
Ultra Stretch™なら、何も入れていない時はフラット。物を入れた時だけ生地が追従します。
必要な時だけ少し広がり、使わない時には存在感を小さくする。
この考え方は、Fanny Boost Packから続いています。
リアポケットは「大容量」のためではない。
背面には、本体と同素材のシンプルなポケットを配置しました。

これも収納量を増やすためのポケットというより、「出し入れの動作を減らす」ための場所です。
スマートフォンや行動食など、何度も使う物のためにメインファスナーを毎回開ける必要はありません。
容量を増やすのではなく、同じ容量の中で使い方を分ける。
2026年モデルで付け加えた機能の多くは、そういう方向のものです。
内側のコードフックも、小さな機能。
メイン収納の内側には、平テープとフックを一つだけ配置しています。

バッグの中を細かく仕切るオーガナイザーではありません。
鍵や財布など、落としたくない物をつないでおくための最低限の仕組みです。
Ultra200XとUltra Stretch™を使う理由。
本体にはUltra200X、フロントにはUltra Stretch™、ファスナーにはYKK AquaGuardを使用しています。
軽量な素材を使うこと自体が目的ではありません。
身体の近くで使い、山でも日常でも持ち歩くバッグとして、重量、強度、耐候性をどこでバランスさせるか。
その結果として選んでいる素材です。

なお、Ultra200XとAquaGuardを使用していますが、製品は完全防水ではありません。
縫い目やファスナー端などから浸水する可能性があるため、濡らしたくない物は防水袋などとの併用をおすすめしています。
軽ければ軽いほどいい、とは考えなかった。
2026年モデルの本体重量は、ショルダーテープを含めて約85g。
過去モデルから見れば、機能を加えた分だけ重量は増えています。
リアポケット。
フロントポケットのファスナー。
内側のコードフック。
これらをすべて削れば、数字としてはさらに軽くできます。
ただ、今回のアップデートで優先したのは「最軽量」になることではありません。
使ってきた中で、「これはあった方が使いやすい」と感じた機能を、必要な分だけ戻しています。
全部を付けるのではない。
全部を削るのでもない。
その間を探すことも、MOUNTDOORのものづくりの一つです。
山のバッグなのか、日常のバッグなのか。

YM Fanny Packは、登山専用には作っていません。
かといって、街だけで使うバッグでもありません。
朝、財布とスマートフォンを入れて出かける。
そのまま低山を歩く。
旅行先で貴重品だけを持って歩く。
バックパックを背負う日は、すぐ使う物を身体の前側へ持ってくる。
使う場所が変わるたびに道具を取り替えるのではなく、一つの物をそのまま持っていく。
MOUNTDOORが考える「山と日常の間」は、そういう使い方にもあります。
Fanny Boost Packから、Fanny Packへ。
| モデル | 役割 | 容量 | 設計の変化 |
|---|---|---|---|
| Fanny Boost Pack | バックパックの拡張収納 | 約1.2L | 薄さとアクセス性を優先 |
| Fanny Pak | 単体のウエスト/ショルダーバッグ | 約1.5L〜 | マチを広げ、単体使用へ |
| Fanny Pack 2026 | 山と日常を行き来する小型バッグ | 約1.5L | ポケットを再設計し、使い勝手を追加 |
まとめ|小さいことも、一つの機能。
Fanny Boost PackからFanny Pakへ。
そして2026年、YM Fanny Packへ。
形も、使い方も、少しずつ変わってきました。
ただ、最初から変わっていないことがあります。
必要な物を、必要な分だけ持つこと。
身体の動きを邪魔しないこと。
そして、山だけの道具にしないこと。
約1.5L。
W20.5cm × H11cm × D6.5cm。
数字だけを見れば、小さなファニーパックです。
でも、このサイズになった理由は「小さいバッグを作りたかったから」ではありません。
バックパックの脇役として始まった小さなポーチを実際に使い、役割を変えながら、必要な機能を足したり、残したり、削ったりしてきた。
その積み重ねの先にある、現在の形がYM Fanny Packです。
YM FANNY PACK
2026 YM Fanny Pack
約W20.5cm × H11cm × D6.5cm
容量:約1.5L
重量:約85g
Body:Ultra200X
Front Pocket:Ultra Stretch™
Zipper:YKK AquaGuard
予約オーダー:2026年9月25日 PM9 ~ 10月5日 PM10頃まで予定
発送予定:2026年11月上旬〜中旬

